自分でも七月生まれが一番かっこいいと思う。これに次ぐ月は二月か十一月あたりだろうとは思うが正直七月とそれ以外では圧倒的な差があるというか二位以下の泥仕合ぶりときたら鼻で笑ってしまうのが正直なところだ。こういう共感覚みたいなものって万人に共通なのかなと思って「誕生日 かっこいい」でググるとヤフー知恵袋に「深い理由はないですが七月と八月はダサい。特に七月七日と八月八日はかなり厳しい」と回答してる奴がいて正直七月十二日生まれだからギリよかったものの七日だったら「こ、こんなのデータに無い〜!」と叫びながらパソコンと一緒に後ろに吹き飛びメガネが割れるところだった。ちなみにこの回答者は「三月が地味だけど一番渋くていい」とも言っており、三月生まれが丸出しでよかった。まあ生まれた街やその土地の文化を愛するのと同じように自分が生まれた季節を何となく好きになるのは当然のことなのかもしれない。俺は平成六年にこの世に生を受け今年の七月で31年が経ち、晴れて32周目のRUNに入ったことになる。数字をみるとあまりの成人男性っぷりにビックリするが、就職経験もないし、たとえば過去に米と炊飯器だけ持って金無し宿無し全国ツアー、みたいな下積み時代があったわけでもない(実はちょっと憧れていた)ので如何にも世間を知らぬ変なおっさんになってしまったなあとしみじみ思う。そういえば先日ツアーで大阪に行った際、なんとなく深夜に飛び込みで道頓堀付近のマッサージ屋に入ったら担当のお兄さんに「若いのにめっちゃ凝ってますねぇ。まだ22,3歳でしょ?」と言われてしまい、女性相手なら世辞にもなろうが男がハタチそこらに見られるというのはいい加減喜ばしいことではないだろうなと思いつつ実際のところを伝えると「へェ~!見えませんねぇ!ちなみにお仕事は?」と妙に会話が続いてしまった。正直この手の質問は後の展開が一々面倒で大抵エンジニアですとか適当に嘘をつくのだがこの時は声に効くツボとか知ってるかもという淡い期待もあって渋々ミュージシャンですと答えたら「マジすか?え、てか、もしかしてスパイエアーさんですか!?」と驚かれてしまった。どういう勘違いなのかは知らんがなんとなく期待を裏切るのもつらいし、といって「どうも、スパイエアーです」と自己紹介するわけにもいかず、なんというか元をただせば俺が世間知らずの変なおっさんなばかりにごめんな、面識ないけどスパイエアーさんもすみません、いやなんで俺がスパイエアーさんに謝らなあかんねん、と混乱しきりだった。まあ薄暗い部屋に寝そべって背後から揉まれてたわけだからそういう勘違いもあるかな、と帰りの夜道で一応調べたが普通に髪型とかも全然違っててガチのイチかバチかで喋っとったんかい、とまたぞろ混乱したものだ。大阪のやつらって雑に生きすぎだと常々思う。哀しいかな俺も大阪生まれなのだが。南無三。
他にもこの七月にはツアーの後半戦があったりSW西澤さんの仕切りでお誕生日祝いをやってもらい先輩や友達総勢20名以上で屋形船に乗ってみたりとそれはそれは色々なことがあったがすべてをここに記していくとキリがないゆえそのあたりは毎週のラジオに任を譲るとする。ツアーファイナル、楽しかったな〜。アンコールの最後に“このバンドが続く可能性が1%でも上がるならどんなダサい手段を取ってでも売れようと思う”というような言葉を口走った記憶があるが、もちろん台本も何も無しにその場で喋っていた中でそんな意思が自然と口から出てきた自分に今の今まで新鮮にびっくりしている。なにも前言を撤回するつもりはないが色々考えると正直マジでホドホドのところでいいなあ、とやっぱり思ったりもするし、その直後に“俺のことをわかってほしくはな〜い”なんて高らかに歌い上げる曲が始まったことには自分でも歌いながらちょっと笑ってしまったのだった。まあ手段はともかく、確かに“もうちょっとくらい続けてみようかなあ”と思ったりはしているなう。俺は昔、家に居場所がなくて学校も大嫌いで、気質的に欲しいものも買いたいものも全然ないタイプだから働くことにも絶望的に向いてない自分にほとほと嫌気がさしてたけど、頼んでもないのに私はあなたの味方だよ、学校なんて辛かったら行かなくてもいいんだよ、みたいことを言いながら猫撫で声で擦り寄ってくるタレントやミュージシャンには絶対感化されたくなかったし、だからどんなにクソな人間関係や教育制度の荒波に飲まれようと真っ向から学校を卒業して絶対に社会に迷惑をかけてやるぞと目を閉じ耳を塞ぎ息を止めながら青春時代を早足で歩き抜けたのだが、このバンドはやっぱりその先というか道中で、つまりはどうしようもない大学生活の中で偶然出会った俺以上にバカな奴らとの縁で出来上がったものだし、アレは嫌だ!コレは失敗だ!とかgdgd言いながらでもとにかく続けてたらやっぱりその先というか道中で何か素晴らしいものに出会えるかもなあ、なんてことをぼんやり期待したりもする。まぁ実際にはこの先おもしろいことなんて何一つなくて、サルに当たりの確率下がっていくボタンを押させまくる実験みたいな状態に陥ってるのかもしれないし、さっさと関西戻ってレコードかけれるBARでもやりてえなあ、と三日に一回くらいは思うけど、それでも月に一回くらいは、たとえば今回のZepp DiverCityの時なんかは、やっぱり続けてて良かったなあと思ったりするものだ。いやはや、俺たちのツアーは早くも一旦幕を閉じたが、この夏はどうやらまだまだ続いていくつもりらしい。暑さと湿気にうんざりする毎日だけど、ふとした風に心奪われることも確かにある。やあヤフー知恵袋の君、やっぱり七月や八月はダサいと思うか?いや、実は俺もそう思うんだ。君の気持ちもよくわかるよ。でも良いところだって沢山あるぜ。三月の渋さもきっと見つけてみせるからさ、いつかこのどうしようもない夏のことも好きになってみてくれ。約束だ。
