十月振り返りPart2

 10/25(sat):小雨のそぼ降るなか、引っ越しをした。数年前に上京する際、とにかく犬を飼いたくてペット可の家を探して住んだのだが(東京の賃貸では中々見つからなかった)、結局忙しすぎていつまで経っても全然飼う気配がないのでこの部屋をそう何度も更新する必要はないなと思ってのこと。ただでさえ弾数の少ないペット可物件を意味もなく俺がドリブルし続けるのは面目ない。犬を飼う人が住んでください。すべては世界中のワンちゃんたちのため……三年間、あざした。いずれにせよさほどの荷物も距離もないし諸々の手続きがヘタすぎてしばらく部屋を同時に二軒借りておかねばならぬことになっていて焦ることはないのでPKスタッフのショウタロウと元沖縄OUTPUTのスタッフで今は上京してその辺をふらふらしている上岡を使役してハイエースを借りてきてもらい、冷蔵庫やらベッドやらの大物だけを詰め込めるだけ詰め込んでハイ終了。正味三時間くらいではなかったかと思う。あざした。ちなみにショウタロウとは江坂MUSEという俺たちの大学の近くにあったライブハウスにサークルのイベントで訪れた際にバーカウンターの奥からヤマトさんですよね?とおずおず話しかけられたところからの縁で、その後なぜか3,4人で飲みに行くことになり、居酒屋でフツーに飲んでいたらいつの間にか彼が床で吐瀉物まみれになって倒れていて、何をしとるんだお前は~と仕方なくみんなでヘラヘラ掃除していたら手伝ってくれていたその店の店長(すみません)がふと気がついて彼の脈を測り「ちょっとコレ……笑いごとじゃないッスよ!!!!!」と絶叫したことをキッカケに救急車のお世話になり、後から普通に心停止していてAEDを何発か撃たれてなんとか蘇生していたと聞いて肝を冷やすなどした。本人いわく「緊張していた」「爪痕を残そうと思った」とのことだったが爪痕さえ残るならば命さえいとわないという刹那をきらめく生き方に何故か共鳴してしまい、何だかんだあって今に至る。あえて言っておくがこちらとしては別に一気飲みとかを強要したわけでも何でもないのにそのあと同席した数人から猟奇殺人鬼みたいな扱いを受けたし(お前らも同罪だろうが)、全身が硬直したショウタロウが注文用のタブレットをパトラッシュくらい抱きしめながら搬送されていったせいでそのあと注文が出来なくなったりして大変困ったがそもそも心停止してるやつを無視して飲み会を続行してんじゃないよという部分については後日反省した。すみません。あの頃の俺はどこかおかしかったんだと思います。まあその会に限らずとにかく酒に飲まれるタイプだし、シラフであっても些細な口論から年上のカイトを蹴り飛ばしたりするようなやつではあるがともあれPK愛に溢れたアツい青年であります。物販とかで見かけたらTシャツを一枚余分に買ってやってください。よろしくお願い申し上げます。何の話だっけ、引っ越しか。とにかくここから数日間は引っ越し祝いだとばかりに毎日ドッタンバッタン大騒ぎ状態だったのでそもそもあまり記憶がない。引っ越し後の部屋のことで言うととりあえずご近所になったスギムさんがママチャリで頻繁にウチに来てはドアを開けたままウンチをするのを何とかしたいと思っている。ドアを開けたままウンチをしないでください。あとドアを開けてウンチをしながら大声で隣の部屋から俺を呼び寄せ、“わかってるよな”、みたいなニヤケ顔でしばらく俺を見つめ、無言の圧でその光景をインスタにあげさせようとするのもやめてください。ジジイの排便シーンをインスタにあげてもその先に何もありません。何なら自分で撮って自分のアカウントでもあげてるぽいけど何故それでフォロワーが喜ぶと思うのか全くわかりません。本当にイチから考え直してください。よろしくお願いします。

 11/1(sat)~3(mon):1日の深夜27時から朝5時にかけてオールナイトニッポンゼロに出演、そのまま新幹線で京都へ向かい朝9時入りでKBSホールにて開催されるボロフェスタ’25に出演、演奏終了後はそのまま会場を飛び出して夕方から大阪公立大学の学園祭で演奏、まぁ大阪だしどうせその辺で朝まで飲んでしまうとして翌日3日は大阪ゴリラホールでキュウソネコカミとのツーマンライブ、という怒涛のスケジュールを敢行。これいつ寝るんやとか何だかんだ会社に文句を言っても「ヒマよりええやん」とか「とにかく一旦やってみよや!」などの何の説得にもなってない言葉が返ってくるだけであり、とにかく一旦やってみよや!と言ってアーティストをステージやスタジオに送り出し、失敗したら俺のせい、成功したらみんなの手柄、全身に爆弾を巻き付け両手にウンチを握りしめながら日本コロムビアに突入する日は近い。ともあれ一軒めのニッポン放送に終電から楽屋入りするや否や我らが天下のクソラジオ銀河巡礼概論で作家をやっている久代が先にインしており主役の俺を差し置いて自分を営業しようと放送局のスタッフ全員に名刺を配りまくっていて俺の心の中のデータキャラが「こ、こんな技、データに無い~!」と叫びながらパソコンと一緒に吹き飛ばされメガネも割れた。後の噂では自分が京都大学の出であることまで喧伝していたようである。そんなにお勉強が好きならお前がデータキャラをやれつうの。とはいえまぁ一応元々深夜ラジオのハガキ職人だった過去を持つ彼にとって担当のANNはひとつの夢だったらしく、放送終了後に時間つぶしで入った有楽町駅前の24時間営業の居酒屋でも延々感想を喋りまくっていてウザいはウザいがそれだけ嬉しかったんだろうなと無理やり得心はした。めんどくせーめんどくせー言いながらも毎週しょーもないラジオをちゃんと続けといてよかったんじゃないでしょうか。駆け出しの頃、どこの馬の骨とも知れぬ学生上がり(もしかしてまだ学生だったか?)のガキンチョにいきなり音楽番組のMCを毎週、何年も任せてくれた大阪の毎日放送やら、お喋りのプロである芸人さんたちの中に何故か俺を放り込んでくれたGERAやら、とにかく口を開けば放送禁止用語ばかり発語する俺をちゃんと公共の場で喋れる人に育ててくれたあらゆる関係者の方々には感謝しております。大阪のYes-fmかなんかでパーソナリティやってた頃なんて生放送中にずっとビール飲みながらマイクに向かってゲップし続けて聴取者から放送局にめっちゃクレーム来たりしてましたからこれでも相当マシになっております。マシになったとはいえ今回の放送中も下品なワードと浅薄なニッポン放送批判をひたすら繰り返してしまった気がする(怖くて自分で聴き返してない)ので今後呼ばれることがあるかどうかは分かりませんが誰かに呼ばれるのを待っているような人生でどうする!!!!行きたい場所には自分で行け!!!!この戦いが終わったら、俺はガールズバーに行きます。よろしくお願いします。
 パンクスという職業はこの世界に文句を言うのが仕事だと思っているので楽屋でも放送中でも、はたまた京都へ向かう新幹線の中でも「何なんだこのスケジュールは」とひたすら愚痴っていたのだが、とりあえずこのあとに控えているボロフェスタの出演に関しては今回出したアルバムを聴いたボロフェス主催の一人である京都nanoのモグラさんがPKには絶対に出てほしい!という旨のアツいオファーを送ってきていたという事情を聞いて仕方ないなぁ////と納得するなどしてしまった。ちなみに今となってはお恥ずかしい話だが、俺は初めてnanoに出演したとき、出番前のリハに大幅に遅刻してきたばかりか缶ビール片手にモグラさんのPAにタラタラとくだらん文句をつけ、初対面にしてその場で氏をブチギレさせてしまった経験がある。随分前の話でお説教の内容は忘れてしまったがとにかく「くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」と怒鳴り散らしながらその最後に「……でも今日は絶対いい日にしたいねん!!!!よろしくお願いします!!!!」と吐き捨ててどこかへ消えていき、実際本番中には俺たちの演奏を見てPAそっちのけでノリノリで踊っていたモグラさんには、PAをそっちのけにはしないでほしいもののどうしても頭が上がらない。あの頃の俺はどこかおかしかったんです。すみません。今時どんどん減ってきてるけど、だからこそ、ああいうアツくてめんどくせーおっさんは貴重な存在だと思う(そもそも俺が悪いが)。まぁ事情はともあれそんな風にブチギレながら踊れるくらいのブッ飛んだバイタリティがある人じゃないと自前でフェスなんかやれんわなと今さらになって妙に納得したりもする今日この頃。関西シーンの異質さはああいうエネルギーに満ちた人たちが最前線にいてくれるおかげだと思うなう。リスペクト!!!!!(←軽薄にみえる)
 ともあれトッパーの出番を済ませ大阪公立大学へ移動。この大学の学祭に参加するのは二度目で、厳密には合併前の大阪市立大学時代に一度出演したことがあるのだが、現地で学生スタッフたちに「ヤマトさんが前回めちゃくちゃ遅刻してきたことが学内で伝説になってます」と言われ赤面。nanoにしてもそうだが、昔の俺、遅刻しすぎだろうが。そんなことで伝説になりたくはない。前回来たときはその当時としても珍しく学内の出店でアルコールの販売があり、学生たちがキャンパス内で輪になって酒盛りしたりしていて随分ひらけた大学だなあと感心した覚えがあるのだが流石に今は禁止されているようで少し残念だった。なんかみんな吸血鬼とかメイドさんとかアニメキャラの格好で泥酔しながら訳もなく絶叫したりしてて、有り体に言うとうる星やつらのビューティフルドリーマーみたいでまぶしかった。まぁ、何もかも一切は過ぎ去るからこそ今この瞬間に価値があるのだし、どんな時代になろうと、その時代にはその時代の面白がり方があるものだ。〽若さ、若さってなんだ、振り向かないことさ……俺はもう、毎日振り向いてばかりなので、空き時間でふらふらと出店を見て回りつつ、自分が学生だった時の学祭を思い出したりなどする。大学前の居酒屋の壁に模造紙を貼り出して各々の名前の下に一気飲みした数を正の字に書いて競ったり、ベロンベロンで一般の来客を水鉄砲で撃ったりしていたなあ、など、あまりロクな記憶はない。今となっては書けないようなことも沢山あったが昨今のように毎日どこかで誰かが同時多発的に炎上し続けているような時代ではなく、ギリギリの大らかさがあったように思う。新歓とかで色々やりすぎて学生課に怒られて社会奉仕活動という名目で皆でティッシュ配りとかしてたなあ。学生の失敗なんて全部そんなもんでいいと思いますけどね。昔は合宿で行った旅館の大浴場の浴槽で味噌汁作ってボイラー室かなんかをぶっ壊した先輩がいるとかとんでもない伝説があったものだが、今そんな事件起こしたら全国的な大問題になりますわな。話を聞く分には面白いがそんな時代を生きたいとはあまり思わない(ちょっとは思う)。うちの軽音サークルもキレられすぎたのか今や大学の公認団体ではなくなったらしい。そらそうだ。あんなもんいちいち公認してられるか。勝手にやればいいと思います(やるな)。いずれにせよ、そんなことをしなくても大阪公立大の学生たちはきらめいていました。路上にアンプに繋がれたギターやらベースやらが打ち捨てられたかのように放置されていてその隣に「FREE BAND SET」という立て看板が置いてあるだけのすいぶん投げやりな展示(展示?)があったり、中庭っぽい場所にある大きなステージの上で変なHIPHOPを流しながら5mくらいある屏風をペンキのついた足で蹴っ飛ばしたりして絵を描いている美術部の青年など、なんじゃそりゃ、が沢山あって面白かった。昔は逆張りで唾吐くようなことばかりしてたけど、今となっては学園祭が好きです。全国の学祭実行委員の皆さん、バンドでも僕個人でも構いません。学園祭に呼んでください。遅刻しません。いらんことしません。あの頃の俺はどこかおかしかったんだと思います。よろしくお願い申し上げます。
 3日のキュウソとのツーマンでは冒頭から一切声が出ずテンションだけで乗り切ったがお客さんはむしろ盛り上がってくれて助かった。今まで見たPKのライブの中で一番よかった、と言っていた人もいたとかいう噂も聞いたがそもそもそれは褒められているのかどうかよくわからない。キュウソのメンバーからも見に来てくれていたフリージアンの面々からも何故かお褒めの言葉を頂いたし、音楽ってよくわからないなあ、という有り体な感想。まぁ音楽に限らず、この世界というのは不思議と発見の連続で、だからこそ面白いのですけれども。ともあれ、俺なんかが偉そうに評価するようなことでもないが、改めて袖から見たキュウソのライブは圧巻の一言だったわず。フロアを湧かせるという目的に対する誠実さが俺たちなんかとはてんで比にならない。アホくさい感想だが「このバンド、売れる!」と思った。なんじゃその感想は。自分で言ってて情けない。“グダグダ言ってるヒマあるならリスナーの耳をこっち向けろ!”……なるほど、一理ある。本気出します。終演後、会場内で行われた打ち上げで清水温泉の田口さんから昔の俺が大阪城野音のイベントに大遅刻してきた話を聞かされる。当時のことはもはやあまり記憶にないが、なんでも一曲目のイントロのカウントが始まるくらいのタイミングで俺が乗ってるタクシーが到着したとかしないとか……やっぱり、あの頃の俺は、どこかおかしかったんだと思います。長くなりすぎるので割愛しまくっているが、遅刻に限らず、関西という土地には、在りし日のありとあらゆる失敗の数々があちらこちらにこびりついていて、イベントなどで帰省するたびに色んなことを思い出し、顔から火が出そうな気分で反省している。それと同時に、当事者というか真犯人の俺が言うことでもないが、そんな失敗の数々をどうにかこうにか笑い飛ばしてくれるような街の中で生まれ育つことができたのは本当に幸福なことだったんだなあとも思う。感謝してます。あざした(軽薄)。そういえばこないだ、そんな街のあれやこれやを思い返しながら、京都のスタジオに缶詰になって曲を書いてきました。タイトルは“Bad Boys Blue”。本当は先週の11月18日に出したかったんだけど、インフルエンザでRECが飛んでしまったり色々あって26日に延期。ほんとにもう、何もかも失敗してばかりの人生だなあと泣けてくる。もしかすると手前勝手な牽強付会に見えるかもしれないが、これだけ色んな場面で失敗してきた人間にしか書けない曲があるはずだと信じています。ていうか、こんなに失敗ばかりしてきたやつのことなんて今さら誰も信じてくれないんだから、せめて自分くらいは信じてやらないでどうする?どんなに時間がかかっても、昨日まで世界になかったものを今日、この世界に作りたいんです。今日中に終わるかどうかはわかりませんけど……いや、もう長くなってきたんで楽曲のプレスリリースに答えたコメントを以下に引用して筆を置きます。本日このあと00時00分に配信開始のようです。遅れてすみません。なんか中央線が止まってたんです。本当です。

 ────ほとんど奇跡か芸術と呼んでいいほどにありとあらゆる選択肢を選び間違え続けてきた人生だが、たとえば運良くタイムマシンが手に入ったとしてもそれらをやり直そうという気分にどうしてもなれないのは、どうせまた別のことで間違えるだろうという確信があること以上に、あの日汗だくになってもがいたあとに吹いたふとした風の心地良さを知っているからである。どうしようもない不良、気持ちの悪いオタク、鼻持ちならないインテリ、何かしらの中毒、その他すべてのはみ出し者にこの曲を捧ぐ。Bad Boys Blue.夏の終わりに吹く、どこか懐かしい風。

https://PKshampoo.lnk.to/BadBoysBlue